2021/03/24

夜桜を見た。

近所の桜が見事に咲いていた。

毎年毎年、前の彼と見ていた。私の東京の桜の思い出は彼だけだった。何しろとても愛していたので、一緒に見る度に「来年は一緒に見れるかしら」と不安で仕方がなかった。

今年は今の彼と見た。やっぱり美しく、今年で見納めで、胸が締め付けられるようだった。

 

眠る前の彼に「私は私で、前の奥さんじゃないよ」と漏らした。「そうだね」と彼は頷いた。

2021/03/23

仕事を今日もサボってしまった。

明日こそリモートではなく出社しなければ。

 

朝、出社する際にモーニングコールを貰った。

彼と庵野秀明安野モヨコ夫妻の話をした。私は美人画報や監督不行届のファンだったのだ。

庵野秀明安野モヨコさんと付き合い始めた時まったくお風呂に入らなかったという話をしたら、潔癖の彼は驚いていた。

「俺がお風呂に入っていなくても、うーちゃんは…」と言うので「きっと好きだったと思うよ。でも銭湯に一緒に行こうよって誘ったかも」と返した。

傾向と対策が我ながらきちんとしていた。

 

これは後々仕事をサボりながら思ったのだけれど、お風呂に入らない人を銭湯に連れて行き付き合うことと、自殺した妻のことを打ち明けられてなお付き合うこと、どちらが苦しいだろうか。

 

夜も庵野監督は天才すぎると言う話をした。

「監督不行届を読んだ時、私の愛する美人画報を書いた安野モヨコはこんな変わった人と結婚したのかと驚いた」と話すと、彼は「俺も結婚したら変って思われるかな」と話す。

変じゃない人間なんていない、といいつつ、でも私はあなたの変わっているところも前向きに受け入れているから、と話した。

自殺した妻の情報を伏せていた彼について、文句を抱えつつ、私は彼と結婚することを決定した。それは、彼の良くも悪くも他人と違う部分をなんとか受け止めて飲み下したいと私も望んだからだ。

そう言うことを考えて、夜が更けてゆく。

2021/03/22

随分と日記が書けなかった。

しばらくストレスフルに働いていた。

 

夏には彼が前妻の三回忌に向かう。

彼も正直なので、「新幹線で駅についた時からきつい」「彼女の地元の市には2人で行った思い出の場所がそこここにあるので、楽しいことを思い出して辛い」「前回はかなり泣いて、彼女のことを考えて安いコーヒーショップで数時間ほうけていた」と共有を受けた。

この感覚はなんだろうとしばらく考えていたのだけれど、ああこれはわざわざ「未練たっぷりなんだ。でもきちんとお別れをしてこようと思っているから許してくれ。そうしたら君だけ好きになれるかもしれない」と非常にあいまいな宣言をした末に前の恋人とデートされるのが近いのかなと結論づける。こう書くと彼が随分嫌な男に見える。結婚はやめるべきなのかもしれない。

 

先のことだが、私は私を甘やかして傷つかないよう対策を練る必要がある。

1人で仕事をしながら待つのも良いかもしれないが、そわそわとするだろう。

アウトレットに買い物をしに行っても良いと浮かれていたが、その時に買ったものに嫌な思い出がついて回るし、目にするたびに私が思い出したり、その上言及したりして、彼も嫌な気持ちになるだろう。

私も「あなたのことを愛していたので、まだちっとも乗り越えられない」と話して泣いた元の男に会いに行くこともできるが、弱り方によってはセックスしてしまう。そうしたら今度こそ愛の流刑地だ。そもそも、結婚したばかりなのに他の男とセックスしている場合ではない。

彼が行く先なら私も転勤で住んでいたことがあるし親友である男友達と飲んでベラベラになろうかとも考えたが、さすがに愛する前妻の三回忌で落ち込んでいる時に新妻が男と飲んで泥酔しているのを目の当たりにするのは彼にとって今後の生活に対する不安や後悔のきっかけになりかねない。

ひとりで旅行に行ってもさびしい。だったらやるべきことがあるし出勤をして、残業をして、お金を稼いだほうがマシだ。

なんなら、上記の仕事以外の選択肢を取って「よかった、僕がいない間たのしいだろうし大丈夫そうだ」と思われるのも癪だ。

まったく大丈夫ではない。私は、まったく大丈夫なんかではない。

彼は自分だけが、自分ばかりが辛いのだと言わんばかりに前の結婚の話をする。頭が悪いことに私が聞くからだ。彼が話をするたびに、もともと自分の女性としての価値が見出せない私は、自分は埋め合わせの2番目の女だと被害妄想をたくましくする。頭ではわかっていても、心が彼の話してくれることに追いつかない。

彼はすっかり見落としているが、法事で辛いのは彼だけではない。私だって辛い。来たる日は私にとって「ああ、付き合う時に私は嘘をつかれていたんだ。私なんてその程度なんだ」と考えながら「ごめんねなんて言わないで。最後の法事なんだし」と彼の前でにこにことする日でもある。彼の不在中は「今頃楽しい思い出とかたくさん思い出したり、遺影見て胸をときめかせたりしてるのかな。結婚は、私じゃなくて良かったのかもな。なんなら、彼女がベストだったのだろう」と自分の存在に対する疑問を感じ、平気なのよという顔をして帰宅する彼を出迎える日でもある。

 

週末ずっとこのことを考えていた。

仕事のことも相まってストレスフルだったのか不正出血したので自宅に帰ってきた。天気や生理不順と重なって(精神的な意味で)気分が悪く、彼と話す気にならず寝たふりをして未読スルーしたほどだ。

こころが狭くてごめんね、ともおもうけれど、私は今耐えられない。彼のことを忘れてラジオを聞きながら漫画を読みながらゴロゴロさせてほしい。

 

今結構苦しいのだけれど、これは以前破廉恥で不純な事ばかりしていた罰なのだろうか。

2021/03/14

静岡と山梨に二泊三日で行った。

静岡に一泊、山梨に一泊。静岡では御殿場に行き、山梨ではほうとうを食し、ふらふらと駅前を散歩し、その後しこたまに飲み、翌朝は飲み屋のおにぎりを食べて、おいしいおうどんを食べた。

美味しいものばかり食べた。嬉しかった。

彼のおうちに挨拶に向かうための服を御殿場で買った私のチョイスを褒めてくれたり、キモメンちゃんである私の事を汲んで、テキーラダイナーに連れて行ってくれたり、膀胱炎になった事を話したのでこまめにサービスエリアに寄ったりと、彼は本当に優しい。

膀胱炎だからと気遣って性交渉をしなかったのも、とても優しい。

 

帰宅後、彼はすぐに酔っ払ってしまった。

私が運転を一切かわらず、ずっと運転してくれていたからだ。優しいね、素敵ね、と言うと彼はニコニコする。

つるという道の駅で水掛け菜という珍しい野菜を今料理してくれている。肉と炒めるみたいだ。

私も使ってみたい、と思う一方で、彼の料理する喜びみたいなものを尊重して、甘えた顔をしながらちょんとソファに座ってチョコレートプラネットの東京遊泳を聞いている。

洗濯をしつつ、ラジオを聞きつつ、彼と食べたいからと購入した大量のお菓子に想いを巡らせている。

2021/03/11

膀胱炎になった。

ぴーぴー騒ぐ私に彼がずっと「病院に一緒に行くよ」「何か買ってくる?」「何かできる?」「かわってあげたい」「横になる?」「明日の旅行は1日遅らせたっていい」と甲斐甲斐しく聞いてはとオロオロしていた。

やさしい。

生々しい形で性交渉の結果膀胱炎になったように見えたら嫌なのだと説得し、病院は1人で行った。ただ善意を断るだけでは悪いので「エビチリの素購入してある、海老下拵えしてある、あとはまかせてもいい?」とお願いした。

彼は私のことを病院まで送り届けて速やかに帰宅してくれた。

2021/03/09

生理中は眠たくて眠たくて仕方がなかった。

これが、新しくヘルニア治療のためにいただいた薬の効果なのか、生理だったからか分からない。

引き続きよく見定めなければならない。

 

もうすぐ遠くに行く。

彼は旅をしおりを作ってくれているらしい。優しいひとだ。

 

生理が終わったので彼に抱いてもらったのだが、痛みを伴った。朝起きたばかりだったからかあまり体の反応も良くない。

彼も困っただろうし、私も戸惑った。

女性である以上、生理周期に振り回されるのだろうかと思った