2021/02/28

この家にはかつての愛が溢れている。

家具について話しながら、私は一度結婚した人と結婚するのだなと思った。

彼は私に申し訳ないと言う。申し訳なく思う必要はない。ただの過去の一側面に過ぎないのだから、引け目に思うことは一つもない。

自殺した先妻について「思い出すのは良くない」と彼はいうが、忘れることもできないだろうし、忘れることの正誤は私は分からない。私は先妻の事を忘れて欲しい。いなかった事にしたら清々する。でもそうはいかない。

きっと始まりが再婚と知らなかったからこう思うのだろう。言及する私の意地が悪いのだ。聞いて口数がすくなる程度には私は思うことがあるのだろう。そう言ってもどうしても過去について質問することや言及する事が辞められない。知りたくてたまらない気持ちが抑えられない。

「私はあなたと付き合うまで嫉妬を一切しなかったの。でも、嫉妬をするようになって、つらい気持ちなんだなと思った」と感想を述べたら苦しそうにしていた。「つらいんだね」と返されて、言葉を失った。負荷をおわせたいわけではないのに。

辛いと言いたいわけではないのに。